日本酒の飲み方

日本酒のスペシャリスト、nomelオーナー山崎が贈る

日本酒の楽しみ方


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日本酒は二日酔いするお酒なのか

日本酒は二日酔いするお酒なのか

nomelにおいでよ!と誘うと、日本酒飲み放題は怖い、と言われます。
次の日が休みじゃないとなかなかいけないよーとも言われます。

これは、日本酒を飲むと次の日の仕事に支障が出る、つまり日本酒を飲むと二日酔いする、または日本酒を飲むと悪酔いする、といった意味で言われているのだと思います。

私も日本酒を飲んで二日酔いしたり悪酔いしたことがあるのでこれが完全に間違っているとは言いません。ただ「飲み方」や「飲むお酒」に気を付ければ、別に平日だからと言って日本酒飲み放題を避ける必要などありません。

まずはどういった「飲み方」をすればよいのか、これを考えてみましょう。

二日酔いのメカニズム

二日酔いはつらい…
確かに二日酔いをすると、その日は仕事どころではなくなるでしょう。ですので翌日に大切な会議などがある場合などは「二日酔いにならないようにする」という考えで飲み放題を避けるのは間違っていないように思えます。

しかし、ビールやワインなどを飲んでも二日酔いになることはありますし、日本酒飲み放題の翌日でも元気に仕事はできます。
日本酒飲み放題をやみくもに避けるのではなく、まずは二日酔いのメカニズムを知るということが大切なのではないでしょうか。

敵を知り、己を知る。これが最も重要です。あ、いや酒は敵ではないですね。笑

そもそも二日酔いとは何か

これは身体からアルコールが抜けるときの軽度の離脱症状として起こるものだと考えられています。

この離脱症状とは何でしょうか?医薬品やアルコールなどのように依存を形成する薬物などを、減量あるいは断つことによって生じる一連の症状のことです。
アルコールの離脱症状としては以下のようなものが挙げられます。

・脱水症状

アルコールを摂取すると、抗利尿ホルモン(利尿を妨げる=おしっこが出にくくなる)であるバソプレッシンの分泌が抑制されてしまいます。つまりおしっこがどんどん出てしまうんですね。飲んでいるときに何度もトイレに行ったり、夜中に目が覚めてトイレに行ったりするのもこのせいでしょう。

この時に尿として排出されるのは、お酒の水分ではありません。まずは血液中の水分が排出され、続いて浸透圧が上昇することにより血管に移動する体液の水分が排出されます。

血液中の水分が不足するとどうなるのでしょうか。
消化器系の臓器への血流量が減れば、機能低下による吐き気などを引き起こしますし、脳への血流量が減れば、頭痛などを引き起こします。

・胃腸障害

二日酔いの朝に吐いたらすっぱい胃酸が出てきたりしますよね…あれは本当につらいものです。
胃酸には胃の中を一定以上の酸性に保ち、消化や殺菌を行うという強力な機能があります。

一方、その強力な胃酸から胃をまもるために、胃粘膜は粘液を分泌し、胃を薄いヴェールで覆っています。
こうして胃そのものと胃酸と胃粘膜はバランスを保ち、共存しているのです。

さて、アルコールを摂取すると胃はどうなるか。アルコールが胃の粘膜に刺激を与えるので胃粘膜がダメージを受けてしまいます。また、胃が強く刺激されると胃は胃酸を分泌するため胃酸過多となり、胃酸と胃粘膜のバランスが崩れてしまうのです。

離脱症状としては他にもありますが、ここでは代表的なものを挙げました。
アルコールの離脱症状はこういった様々な症状が複雑に組み合わさって起きます。
二日酔いの代名詞である頭痛や吐き気、胃のむかむかなどは、このへんが原因となって引き起こしているんです。

二日酔いを防止するには

それでは二日酔いを避けるにはどうすればよいのでしょうか。これには以下の4点が有効です。

・こまめに水分補給する

アルコールと同量~1.5倍程度の水分を補給しながら飲むと良いでしょう。nomelでは必ずやわらぎ水をお出ししていますので酒水酒水と交互に飲むことで二日酔いの防止につながります。

水ではなく、スポーツドリンクも悪くありません。スポーツドリンクにはミネラル分や糖分が含まれているため、アルコールの分解を助ける効果も期待できます。しかし水と違って味がついているのが微妙か。

コーヒーなどのカフェイン入りのドリンクはどうでしょうか。カフェインは利尿作用があるので水分補給という意味では適さないかもしれません。しかし一方で、カフェインは血管を収縮させる働きがあります。そのため、アルコールによって膨張した血管が神経を圧迫して起こる頭痛を予防することも期待できるとされています。
飲んだ後にホットコーヒーを一杯くらい飲むのは良いかもしれませんね。

何を飲むにせよ、冷たい飲み物をがぶがぶ飲むのはお勧めできません。冷たい飲み物は身体を冷やすため、胃腸に負担がかかってしまいます。
また、冷えたおなかを温めるため、おなか回りに脂肪がつきやすくなるともいわれています。おなか回りが気になるあなたはキンキンに冷えたビールではなく、日本酒をぬる燗で飲むスタイルに変えると良いでしょう!

・空腹状態を避ける

空腹の時にお酒を飲むと胃粘膜に刺激を与えることになります。酔いがまわるのも早くなります。
乳製品にはアルコールの分解酵素を助けるタンパク質やビタミンが豊富に含まれているため事前に摂取しておくと良いでしょう。

・自分の酒量を知る

自分の酒量を知り、そして覚えておくことは大切です。私も今までに多くの方にたくさん迷惑をかけて来てしまいましたが、それは自分の酒量をわきまえずにたくさん飲んでしまったからだと言えます。
3合くらいなら大丈夫かな、でも昨日はあまり寝ていないから2合半くらいにしておこうかな、という自己管理が二日酔いや悪酔い、また泥酔などを避けるポイントであることは間違いありません。

・お酒の温度帯に気を付ける

アルコールは体温と同程度まで温まらないと胃壁から吸収されないため、お酒を冷やして飲むとなかなか酔いません。そのためいくらでも飲める気になって飲みすぎてしまい、一気に酔いが回ってしまうのです。
また前述した通り、冷えた飲み物をたくさん飲むと身体を冷やし胃腸に負担をかけてしまうため翌日に疲れを感じることもあります。
その点、燗酒ならばアルコールの吸収が良くじわじわと酔うため、飲みすぎを防ぐ効果も期待できます。

まとめ

翌日が仕事であっても、大切な会議があったとしても、日本酒飲み放題を避けることなどありません。
アルコールを摂取するときは、しっかりと水分補給を忘れずに行い、美味しいおつまみを食べて、そして自分の酒量をわきまえながら燗酒を楽しむ。これだけで二日酔いになる確率をぐーんと下げることができるのです。

今日は二日酔いを防ぐための「飲み方」について考えてみました。
次回は「飲むお酒」について考えてみたいと思います。