日本酒の飲み方

日本酒のスペシャリスト、nomelオーナー山崎が贈る

日本酒銘柄


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山形正宗

山形正宗

山形正宗は山形県天童市の水戸部酒造がつくっているお酒です。
nomelではだいたい1~2種類くらい飲み放題メニューの中にご用意しています。1本空いたらストックからまた別のやつが出てくることも…
店主の山崎が最も好きなお酒のひとつです。
今日は山形正宗について語りたいと思います。

純米造り

「夏子の酒」に酒造技術指導者・上田久という名前で出ていた日本酒界の大御所である故・上原浩氏は「酒は純米、燗ならなお良し」という言葉を何度もその著書の中で述べていますが、純米酒こそが日本酒の美味しさを100%発揮することができるとnomelでも考えています。
水戸部酒造では2010年より醸造アルコールを添加した酒をやめ、全量純米酒に切り替えています。
しっかりと米のうまみがある酒。それでいてフィニッシュに切れ味を感じる酒。純米にこだわるからこそ、このおいしさを実現できているのだと思います。

純米酒とアルコールを添加した酒の違いは、単にアルコールを添加しているかいないかの違いではありません。純米酒は醪をほぼ完全発酵させているのに対して、アル添の酒は発酵を途中でやめて未熟な醪を絞っているという点が最も大きな違いでしょう。この辺の話も面白いのでまた別の機会にゆっくりと書きたいと思います。

仕込水

水戸部酒造は、奥羽山系の伏流水を仕込水として使用しています。
硬度は約120と硬いです。硬水には酵母の栄養源となり発酵を促すカリウムやマグネシウム、リンなどのミネラルが豊富に含まれており、酒造りに向いているとされています。
ただし、水に含まれるミネラルが少なかったとしても、米から溶かし出すことができればミネラルは十分に足ります。

「灘の男酒、伏見の女酒」という言葉があります。
灘の水は硬度が約180と比較的高いため発酵が進みやすく、後味が引き締まった味になります。
一方、伏見の水の硬度は約40。発酵が穏やかでまろやかな味になるという特徴があります。
二大酒どころの酒の特徴について、仕込み水の硬度の違いで説明した面白い例です。

ちなみにヨーロッパの水は、土地が平たんであることから雨水などの地中滞在時間が長く、また石灰岩の地層が多い、といった理由から地層のミネラルをたくさん溶かした硬水が多くなります。一方、日本の水は、平地が狭く山地の傾斜が急でけわしいため雨水はすぐに河川水となってしまう上に、国土の約4割が火山性の地層でミネラル分が少ない、といった理由から地層のミネラルを吸収する時間が短いため軟水が多くなります。

日本の水の硬度は平均50~60ですが、日本酒の仕込み水には、20以下の軟水から200をこえる超硬水まで様々な硬度の水が使われています。
水戸部酒造の水は日本の平均と比べるとかなり硬い水ですね。同様に硬水で仕込んでいる蔵に「風の森」をつくっている油長酒造などが挙げられます。
この硬さが切れ味の良い飲み口を生み出しているんです。

ドメーヌ化の取り組み

ドメーヌ化とは、日本酒の原材料である酒米も自分ちの蔵で栽培しちゃうよ、というような意味です。
水戸部酒造は、天童市で酒米の栽培をしています。
ただ、100%のドメーヌ化にはこだわっていないとWebページにも記載しています。

私達は「銀座の鮨屋」です(水戸部酒造ホームページより

ですって。お寿司屋さんは江戸前の素材を基本にしながらも、マグロは大間から、タイは明石から、こんな風に日本全国から最高の材料を集めるでしょって。
兵庫県の山田錦や岡山県の雄町など、素晴らしい原材料を使用して酒造りをすることは酒造りに大きなインスピレーションを与えてくれるのだと言っています。

なので全量をドメーヌ化するのではなく、「ほぼ」ドメーヌを目指しているのだとか。
こういった考え方もいいな、共感できるなって思います。

斗瓶囲い

山形正宗の純米吟醸はどれも美味しいと思いますが、その中でも斗瓶囲いは別格です!

お酒を絞る時は、一般的にはプレス式の酒搾り機を使用してぎゅーっと圧力をかけて搾ります。
斗瓶囲いは、大きな木綿袋に酒を入れ、吊るすことで圧力をかけずに自然にポタポタと一滴ずつお酒を絞るやり方のことを言います。
絞ったお酒は、斗瓶(10升=1斗なので10升入る大きな瓶を想像してください)で受けるから「斗瓶囲い」。ほかにも、「袋吊り」や「雫酒」などとも呼ばれます。

nomelにいた山形正宗たち

・純米吟醸 雄町
・純米吟醸 山田錦 秋あがり
・純米吟醸 稲造
・純米吟醸 酒未来
・純米吟醸 うすにごり生

こんなのが今までに入っています。これからもどんどん仕入れますよ!
ちなみに「稲造」は自分たちでお米を作ったよー、ということに由来しているのだとか。あと、杜氏である水戸部氏のあだ名でもあるそうです。確かに、似た名前の有名人いましたね。笑
先日、お客さんと山形正宗愛について語ってた際に、そのお客さんが「ここ数年で山形正宗は天下を取るかもしれないね」とおっしゃっていたのが印象的でした。nomelは飲んで応援しますよー!

あと、山形正宗は洋食材とも相性がいいんです。水戸部酒造では生ハムの輸入代理店なんかもしていて、合わせてみると確かに悪くないんですね。
また前述のお客さんが言うには鴨コンフィとの相性が最高だと!

そんなわけで3月に「山形正宗と鴨コンフィを楽しむ会」を開催しようと思っています。斗瓶囲いはもちろん、「まろら」とか梅酒なんかも仕入れる予定ですよー。
また別途ご案内させていただきますので、ぜひ皆さん参加してくださいね。